Symbolic AI(記号主義AI)とは
記号主義AI / GOFAI / 記号的AI
知識を明示的な記号・ルールとして表現し、論理的な推論規則に基づいて処理する古典的なAIアプローチ
ひとことで言うと
知識を「もし〜なら〜」のようなルールや記号で表し、論理的に処理する昔からのAIの作り方。
概要
Symbolic AI(記号主義AI)とは、知識を人間が理解できる明示的な記号(シンボル)やルールとして表現し、論理的な推論規則に基づいて処理するAIのアプローチ。 「GOFAI(Good Old-Fashioned AI)」とも呼ばれ、1950年代から1980年代にかけてAI研究の主流であった。 オントロジーによる概念の階層構造の定義や、if-thenルールの集合として知識を記述するエキスパートシステム、述語論理に基づく自動定理証明などが代表的な実装形態。 出力に至る推論過程を明示的なルール適用として追跡できるため説明可能性が高い一方、あらゆる知識をルールとして人手で記述する必要があり、現実世界の曖昧さや例外への対応、大規模な知識の網羅に限界があった。 2010年代以降のディープラーニングの台頭により主流ではなくなったが、その説明可能性や論理的厳密性は、統計的な学習を主体とするニューラルネットワークが苦手とする領域を補うものとして、ニューロシンボリックAIなどの形で再評価されている。
背景
人間の知的活動は記号操作によって説明できるという物理記号システム仮説(Newell & Simon)を理論的な土台として、AI研究の初期には知識を明示的な記号とルールで表現し、論理演算によって推論するアプローチが主流だった。
歴史
1956年、Allen NewellとHerbert Simonが、記号操作により定理を証明するプログラムLogic Theoristを発表。Symbolic AIの先駆けとされる。 1985年、哲学者John HaugelandがGOFAI(Good Old-Fashioned AI)という呼称を著書『Artificial Intelligence: The Very Idea』で用い、記号処理に基づく古典的AIアプローチを指す語として広まった。 2010年代以降、ディープラーニングの性能向上により、Symbolic AIはAI研究の主流の座をニューラルネットワークに譲った。
利点
- 推論過程がルール適用として明示的に追跡でき、説明可能性が高い
- 論理的に厳密で、一貫性のある結論を保証しやすい
欠点
- 現実世界のあらゆる知識・例外をルールとして人手で記述する必要があり、スケールしにくい
- 曖昧さやノイズを含むデータ、未知のパターンへの対応が苦手
比較
- 機械学習 — Symbolic AIが明示的なルール・記号処理に基づくのに対し、機械学習はデータからパターンを統計的に学習するアプローチ
- オントロジー — オントロジーは、Symbolic AIにおいて概念・関係を形式的に表現する代表的な知識表現手法
- Cyc — Cycは、常識知識を大規模なルール・公理群としてエンコードした代表的なSymbolic AIプロジェクト
- Neuro-symbolic AI — ニューロシンボリックAIは、Symbolic AIの論理的推論・説明可能性とニューラルネットワークの学習能力を組み合わせるアプローチ
関連用語
よくある質問
Symbolic AIは今も使われている?
エキスパートシステムやルールベースの検証・制約チェックなど、ルールが明確なドメインでは今も使われている。近年はニューラルネットワークと組み合わせるニューロシンボリックAIとしての再評価も進んでいる。