Re Reference AI

技術

オントロジーとは

Ontology

ある領域における概念・属性・関係を、機械が処理できる形で形式的に定義した語彙・知識の体系

知識情報検索

ひとことで言うと

ある分野の概念や関係を、コンピュータが扱える形に整理してまとめたもの。

概要

オントロジーとは、特定の領域(ドメイン)における概念・属性・概念間の関係を、機械が処理できる形式で明示的に定義した語彙および知識の体系を指す。 「人間」は「哺乳類」の一種である、「著者」は「論文」を「執筆した」といった、概念のクラス階層や関係を形式的に記述することで、コンピュータが推論・検索するための共通の意味的基盤を提供する。 Semantic WebにおけるRDF・OWLといった標準規格や、企業内の知識グラフの構築等で用いられ、近年ではLLMを用いたRAGにおいても、非構造化文書から抽出したエンティティ・関係をオントロジーに基づき整理し検索する「GraphRAG」的アプローチが再注目されている。

背景

コンピュータが自然言語のテキストや個別のデータだけから、概念同士の関係や意味を正確に扱うのは難しいという課題があった。 オントロジーは、ある領域の概念や関係をあらかじめ形式的に定義しておき、コンピュータが一貫した意味づけのもとで推論・検索・データ統合を行える基盤として整備されてきた。

歴史

1993年: Thomas Gruberが、オントロジーを「概念化の明示的な仕様(explicit specification of a conceptualization)」と定義し、情報科学分野での標準的な定義として広く引用されるようになる。 2001年前後: Tim Berners-Leeらが提唱したSemantic Webの構想において、RDF・OWLを用いたオントロジーの記述が中核技術として位置づけられる。 2020年代: LLMを用いたRAGの発展に伴い、知識グラフとオントロジーを組み合わせて検索・推論精度を高めるGraphRAG的手法が再び注目される。

ワークフロー

対象領域の概念・属性・関係を専門家がヒアリング等を通じて洗い出す → RDF・OWL等の形式言語でクラス階層・関係を記述する → 推論エンジンで整合性を検証し、明示されていない関係を推論によって導出する → データやコンテンツをオントロジーに沿って構造化・関連付ける。

利点

  • 概念・関係をあらかじめ形式的に定義することで、異なるシステム間でも一貫した意味づけでデータを扱える
  • 推移律等の論理的性質を利用し、明示されていない関係を推論によって導出できる
  • RDF・OWL等の標準規格に基づけば、異なる組織間でもオントロジーを共有・再利用しやすい

欠点

  • 領域の概念・関係を網羅的かつ形式的に定義する作業には多大な人手と専門知識を要する
  • 対象領域が変化・拡大するたびにオントロジー自体の保守・更新が必要になる
  • 厳密な形式化が難しい曖昧な概念や、例外の多い関係の表現には向かない場合がある

比較

  • ベクトルデータベースオントロジーが概念間の意味的関係を形式的に定義するのに対し、ベクトルデータベースは埋め込みベクトルの類似度に基づき検索する、異なるアプローチの知識表現手法
  • CycCycは、常識知識を大規模なオントロジーと述語論理の公理群としてエンコードした代表的なプロジェクト

関連用語

推移律CycRAGベクトルデータベースGraphRAG

よくある質問

オントロジーと知識グラフの違いは?

オントロジーは概念・関係を形式的に定義するスキーマ(語彙の設計)にあたるのに対し、知識グラフはそのスキーマに沿って実際のデータ(具体的なエンティティや関係)を格納したものを指すことが多い。

オントロジーはRAGにどう使われる?

非構造化文書から抽出したエンティティや関係をオントロジーに基づいて整理し、単なる埋め込みの類似度検索だけでは捉えにくい概念間の関係を踏まえて検索・推論するGraphRAG的なアプローチで活用される。

参考文献

関連Zenn記事