FocoNetとは
複数観測点の地震波形データからTransformerで震源メカニズム(発震機構解)を推定する機械学習モデル
ひとことで言うと
地震計の観測データをもとに、断層がどの向きにどう動いたか(発震機構解)をAIで推定するモデル。
概要
FocoNetは、Xiaohan Song(スタンフォード大学)、Men-Andrin Meier(カリフォルニア工科大学)、William L. Ellsworth、Gregory C. Berozaが開発した、震源メカニズム(発震機構解)を推定するTransformerベースの機械学習モデル。地震波の初動極性(first-motion polarity)、P波とS波の振幅比、複数観測点のSNR(信号対雑音比)といった情報をTransformerエンコーダで統合し、観測点同士の関係性を学習する。従来のグリッドサーチ法と比べ、正解ラベルに対するKagan角度の誤差が平均7〜14度改善し、観測点数が少ない場合でも安定した精度を示す。ソースコードと学習済みモデル(FocoNet_Full・FocoNet_O・FocoNet_SPの3種)がGitHub上で公開されている。
歴史
2026年、Xiaohan Songらが論文「FocoNet: Transformer-Based Focal-Mechanism Determination」を発表した。掲載誌はJournal of Geophysical Research: Machine Learning and Computation。
アーキテクチャ
各観測点の地震波形から得られる初動極性・P/S振幅比・SNRをトークンベクトルとして扱い、Transformerエンコーダで観測点間の関係性を学習することで震源メカニズムを推定する。使用する入力情報の組み合わせによって、FocoNet_Full・FocoNet_O・FocoNet_SPの3種のモデルが用意されている。
利点
- 従来のグリッドサーチ法と比べ、Kagan角度で平均7〜14度の精度改善が報告されている
- 観測点数が少ない状況でも、従来手法より安定した震源メカニズム推定結果を示す
- 初動極性・振幅比・SNRという複数種類の観測情報をTransformerで統合して扱える
欠点
- 地震波形データという専門分野に特化したモデルであり、他分野への汎用性はない
- 学習・評価には専用データセット(Zenodoで配布)とLinux環境が前提になっている
- 2026年公開の研究であり、実運用での検証事例はまだ少ない
参考文献
- Research PaperFocoNet: Transformer-Based Focal-Mechanism Determination
- GitHubxhsongstanford/FocoNet